キミに…Kiss

陸のまっすぐな瞳に見つめられるだけで


もう自分の気持ちにウソがつけなくなる。


ねぇ、陸…?


もう追いかけたりしないから、心の中でだけ まだ“好き”って想っててもいい?



あたし、やっぱり陸のことが──・・・



「……グスッ」


「どうしたんだよ?」


「あれ、どうしちゃったんだろ?急にコンタクトがズレちゃったみたい…」


だけど言いたいことも言えなくて、ただ臆病になる。


「……ぅっ」


眼尻に現われた涙を人差し指で急いで拭った。



またゆっくりと進み出す2人。



黙って前を歩く長い影を見ながら歩いていたら


「着いたぞ」
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