キミに…Kiss
目尻を下げて、美華が満面の笑みで俺を見る。
俺だけを見てくれているようで…この顔が俺の1番好きな美華。
けど、今 俺の頭の中を占領してるのは…別のヤツの顔だった。
「それとね…あたし。ずっと陸に言いたかったことがあったの」
「なんだよ」
「陸はね…翔をとおして あたしを見ていたんだと思う。翔よりも自分の方を見て欲しいってね。それから 翔だけど。今でもすごく後悔してるの。陸に小さい頃『お前がいなかったら…』って言ったことを」
「え…翔が」
寂しかったのも…傷ついたのも自分だけじゃなくて。
俺も幼かったけど、翔だって…まだ小学生の子供だったんだ。
殻に閉じこもった俺は、いつの間にか自分のことしか見えなくなっていたんだ。
でも、そんな俺をいつもアイツは──・・・
そして、美華は最後に俺にこう言った。