キミに…Kiss

───トントンッ…



「入るわよ。ちょっと愛理、返事もしないで どうしたの?」


真っ暗な部屋の中にママが入って来た。


「愛理、今日…デートだったよね?」


「…………」


そう…今日は12月24日。


クリスマスイブで、あたしの誕生日でもある日。


あたしは大好きな人とはじめて一緒に過ごしていたのに。


「愛理…もしかして陸くんとなんかあった?」


あたしの隣に腰を下ろしたママと目が合った途端



「ぅ…ぅっ…ぅっ。ママ!」



胸の奥に押し殺していた気持ち全部がいっぺんに溢れだし、ママの胸の中で声をあげて泣いた。
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