キミに…Kiss
と言うことは、あたしが目にしたモノは まぎれもない現実ってことで。
見なかったら…よかったのにな。
そしたら きっと…こんなに胸も痛くならないで済んだのに。
そんなことを思いながら、いつもだったらご飯をおかわりする夕食もほとんど残しちゃった。
夕食後。ザ──ッ…
蛇口から勢いよく流れる水の音。
その音を聞きながら思った。
あたしが見たモノを今すぐ洗い流して欲しいって。
でも、流れて消えて 忘れられるはずもなく……。
「急にビックリするじゃない!?」
「ママ、夕食残しちゃってゴメンね。ちょっとだけ背中貸してくれる?」
今、パワー激減中のあたし。
夕食を終え、お皿を洗っているママの小さな背中に抱きついた。
「なんかあったの?」
「ママ、どうしよう。すごく…苦しい…よ」