素直になれないオトシゴロ。
出会いと…
「絶対学年1位とってやるっ…!!」
きっと大丈夫だ。
春休み中、大好きなゲームを我慢してずっとがんばっていたんだ。
私がずっと憧れていたこの高校で絶対学年1位にならなくちゃ。
入学式を終え、ついにテストの日になり、私はとても緊張していた。
学校へと向かうバスを降り、深く深呼吸した。
絶対大丈夫。大丈夫…落ち着け、自分!
自分にそう言い聞かせながら、私はテストが待つ学校の門をくぐった。
「……学年2位っ!!?」
その言葉を発したのはその日から数日たった頃だった。
嘘だ。絶対1位とれると思ってたのにっ。
誰なんだ、学年1位は。
「せ…せんせー、1位は誰なんですか…?」
「1位は……」
瀬戸川ミオ
それが学年1位をとった子の名前だった。
どんな子なんだろう…?
私はその子のことが気になりすぎて、昼休み中ずっとその子を探していた。
「瀬戸川ミオちゃん…どこにいるんだろう。」
「キミ、ミオを探してるの〜?」
わっ、誰だ!?
私が顔をあげると、そこには髪の毛を真っ黄色に染めた…ひと言でいうと、チャラ男が立っていた。
この人、瀬戸川ミオちゃんを知ってるのかな…?
でも、不良っぽいし、なんか聞きづらいな…
「どしたの〜?難しそうな顔して。ミオならうちのクラスだけど?」
えっ、まじか…
もう、ここはこのチャラ男くんに頼むしかないなっ…!!
「あ…あのっ!瀬戸川ミオちゃんのところに…、私を連れていってくれませんかっ…!」
「うん〜、いいよーん。んじゃ、ついてきて〜!」
私はこの、チャラ男くんの後ろを小走り気味についていった。
この人、歩くの早いな…。私がいるってこと忘れてないか!?
私がそんな事を考えているうちに、チャラ男くんは足を止めた。
「こいつだよ〜っ!」
「…えっ!?」
私達の目の前には、髪を茶色に染めて、制服を着崩しすぎている、チャラいとしか言いようの無い男の子が立っていた。
「…あ、あの…」
私はチャラ男くんの方を見るが、チャラ男くんは頭の上にハテナを浮かべながら、戸惑う私を見ている。
「私が探してるの、多分…この人じゃないです。」
「え〜、瀬戸川ミオなんて変な名前、こいつしかいねーよww」
「おい…」
瀬戸川ミオさん(?)は不機嫌そうな顔でチャラ男くんに腹パンをしてから、私の方を見た。
「あのさ、いつまでそこにいんの?」
「あのっ、私、学年1位をとった瀬戸川ミオちゃんに会いたいんですけど…」
「ミオちゃん?…女?」
瀬戸川ミオさんはチャラ男の方を睨みつけると、チャラ男は私に向かって説明を始めた。
「あ〜、多分ねーそれ、こいつのことだわ〜。女の子じゃないと思うよー?」
え…こいつが!?この不良みたいな人が!?
名前的に勝手に女の子だと思ってた!恥ずかしい…!
「ってゆーかさぁ、おまえはなんのために俺を探してんだよ。」
あれ、何しようとしたんだっけ?
あぁ、そうだ。ただ気になってただけだったんだよな。
「あぁ…えぇと……」
私は頭の中が真っ白になってしまった。この後私がなぜそんな事を言ったのかは、ほとんど覚えてはいない。ただ、後になってから、恥ずかしいことを言ったことに気づいた。
「私は、次のテストであなたに勝ちますっ…!!」