Four you ~2+2=4=2×2~
第1章~双子が二組~
第1話~数万分の一~
両里高校は、都内ではそこそこ名の知れた進学校で、全寮制の高校としても知られている。
その両里高校にこのたび無事合格した私・津田詩音(ツダ・シオン)は、新たな学園生活に胸を膨らませ、入学式に臨んでいた。
もっとも、ここでの学園生活に胸を膨らませていたのには、ちょっとした理由がある。
私はネット小説サイト「LEVON」に「C-ON(シーオン)」というペンネームで登録し、小説を書いている。最初は趣味の延長線だったのだけれど、幸いにも多くの読者がつき、少し前に現役中学生にして小説を出版する、というちょっとした快挙を成し遂げたのだ。
そのサイトは主に女子中高生を対象としており、当然両里高校にもそのサイトの住民入るはずだった。だから、きっとクラスの子から一目置かれ、いい気分で三年間を過ごせるんじゃないか、そう考えていた。
体育館での入学式が終わり、私達新入生は掃除の行き届いたキレイな教室に通され、席に座っていた。そして入学式での鉄板ネタ、新入生の自己紹介を取り行っている最中だった。
私の前の席の子が座る。いよいよ、私の番だ。
こういう自己紹介というものは緊張するもので、立ったその瞬間、頭が真っ白になってしまうこともよくある。だから前の日までに何を言おうか考えたり、それを練習したりするのだが、それでもうまくいかないことの方が多い。
「えっと…」
そして、今はそっちだった。立った瞬間に、前日まで少しばかり練習していた内容も、その時のイメージも全てが消滅し、ただただ目の前の状況を取り入れるだけになってしまった。
「津田詩音といいます」
名前を名乗るその行動一つをとっても、関西出身であることが邪魔をして、変なイントネーションになってしまうのが恥ずかしい。
「一年間よろしくお願いします」
結局、自発的に言えたのはそれだけだった。だけど幸いにも、その後に私に質問が投げかけられた。
その両里高校にこのたび無事合格した私・津田詩音(ツダ・シオン)は、新たな学園生活に胸を膨らませ、入学式に臨んでいた。
もっとも、ここでの学園生活に胸を膨らませていたのには、ちょっとした理由がある。
私はネット小説サイト「LEVON」に「C-ON(シーオン)」というペンネームで登録し、小説を書いている。最初は趣味の延長線だったのだけれど、幸いにも多くの読者がつき、少し前に現役中学生にして小説を出版する、というちょっとした快挙を成し遂げたのだ。
そのサイトは主に女子中高生を対象としており、当然両里高校にもそのサイトの住民入るはずだった。だから、きっとクラスの子から一目置かれ、いい気分で三年間を過ごせるんじゃないか、そう考えていた。
体育館での入学式が終わり、私達新入生は掃除の行き届いたキレイな教室に通され、席に座っていた。そして入学式での鉄板ネタ、新入生の自己紹介を取り行っている最中だった。
私の前の席の子が座る。いよいよ、私の番だ。
こういう自己紹介というものは緊張するもので、立ったその瞬間、頭が真っ白になってしまうこともよくある。だから前の日までに何を言おうか考えたり、それを練習したりするのだが、それでもうまくいかないことの方が多い。
「えっと…」
そして、今はそっちだった。立った瞬間に、前日まで少しばかり練習していた内容も、その時のイメージも全てが消滅し、ただただ目の前の状況を取り入れるだけになってしまった。
「津田詩音といいます」
名前を名乗るその行動一つをとっても、関西出身であることが邪魔をして、変なイントネーションになってしまうのが恥ずかしい。
「一年間よろしくお願いします」
結局、自発的に言えたのはそれだけだった。だけど幸いにも、その後に私に質問が投げかけられた。
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