Four you ~2+2=4=2×2~
家政婦に対して一番嫌悪感を抱いているのは、陽未だった。

自分には耀兵という頼れる兄がいる。今まで家事で困ったことなんてなかった。食事も洗濯も掃除も、完璧とは言えないかもしれないけれど、完璧でなくても構わないのが人間というものだ。むしろちょっと足りない方が、生活感や向上心が出てきていい。

家政婦は、確かに家事の助けにはなる。だけど、その仕事は完璧すぎて、陽未にはどこか気持ちの悪いものに思えた。耀兵のいる意味が否定されていくように思えたのだ。だからある日、陽未はある思い切った行動をとった。

それは、家政婦が来て一週間ほどたった時だった。

「ピンポーン」

土曜日。理帆は仕事へ行き、耀兵と陽未は学校に行っているが、慎太は家にいた。

「帝都放送の者です」

インターホンから聞こえる声に、慎太が素早く反応する。

「来たか…」

玄関のドアを開ける。そこに立っていたのは、結衣先輩が演じる、慎太の出演している番組のリポーターである松水麻里(マツミズ・マリ)と、映奈が演じるカメラマンだった。

「おはようございます、枡鳥さん。『ホログラム家政婦に来ていただいている家庭への一日密着取材』ということで、今日一日、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
「どうしたんですか、慎太さん?」

慎太の後ろから家政婦が現れる。

「取材です。今日来るって、前にお話ししました…よね?」
「…あっ、帝都放送の方ですか! 初めまして、ホログラム家政婦『HR―8808』です」
「初めまして、リポーターの松水麻里です。本日はよろしくお願いします」
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