Four you ~2+2=4=2×2~
学校に行かず家にいるのを家政婦に見られた陽未だったが、焦燥する気配は無かった。

「…家政婦さん、テレビの人はもう来た?」
「来ましたけど…学校はいいんですか?」
「それより大事なことがあるの。…来た」

慎太と松水、それにカメラマンが部屋に入る。

「陽未…土曜日は午前中だけ学校だろ? 何やってるんだ?」
「カメラマンさん、ちょっと私を映してくれない?」
「は、はい…」

カメラが陽未に向けられる。

「ホログラム家政婦を提供している会社の皆さん、今から私はそちらに向かいます。少しお願いしたいことがあるので。…カメラマンさん、この映像、動画サイトにアップしてくれない?」
「で、でも…」
「今の映像だけでいい。どうせ今のは放送しないでしょ?」
「陽未、何考えてるんだ?」
「それは私のセリフだよ」

いさめるような陽未の口調に、場が静まり返る。

「お父さん、いつも自分で色々決め過ぎなんだよ。今日テレビの人が来るのだって、家政婦さんに来てもらうのだって、全部お父さんが決めてるでしょ? 私達に相談なしに」
「相談はしてるだろ?」
「あんなの相談じゃない。事後報告。『することにしたから』って、そんなの言われてもどうしようもないでしょ? …アップできた?」
「…はい…」
「ありがと。…じゃあ、行ってくるから」
「待て、陽未!」

追いかけようとする慎太だが、カメラマンが止める。

「動画、アップしてませんから」
「えっ?」
「会社に行ったところで、今のことを知っている人は一人もいません。すぐに戻ってきますよ、きっと」
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