Four you ~2+2=4=2×2~
「…お察しの通り、これは私が、家族に相談なしに一人でやっていることです。ですが…大切な話だと、そう思っています」
その瞬間だった。
私の頭の中から、陽未としてのセリフが、全て抜けた。頭が真っ白になり、私は陽未から、津田詩音に戻った。
「…」
気まずい沈黙。観客席がざわつきだす。
「詩音…?」
聞こえないレベルで、隣の若奈が声をかける。だけど画面の中央にいる私は、応えることもできずに、ただ苦い顔で立っていた。
「…まさか…忘れたのか…?」
同じく聞こえないレベルで、聖都が話す。しかし、私は佇んだまま。
「…!」
悔しかったし、恥ずかしかった。ここにはわざわざ関西から来てくれた私の両親も、部員全員の両親も、それ以外の参加者の皆さんも、大勢いた。けれど、そんなことじゃなかった。
演劇部員として、最後の舞台に立っている先輩達。恥をかかせている私が、たまらなく悔しく、恥ずかしく、そして、憎かった。
「陽未さん!」
長い長い沈黙の後、倒れていたはずの耶色先輩…家政婦が立ち上がり、叫んだ。
「えっ…」
「…動けないんじゃ…?」
ランディ先輩、もとい耀兵が尋ねる。
「残念でしたね、陽未さん」
そして家政婦は、ポケットから折りたたまれた台本とシャーペンを取り出した。
「これは私の説明書なのですが…」
その言葉をBGMに、シャーペンが台本の上を滑る。
「線を引いておいたこちら、ご覧になって下さい」
その瞬間だった。
私の頭の中から、陽未としてのセリフが、全て抜けた。頭が真っ白になり、私は陽未から、津田詩音に戻った。
「…」
気まずい沈黙。観客席がざわつきだす。
「詩音…?」
聞こえないレベルで、隣の若奈が声をかける。だけど画面の中央にいる私は、応えることもできずに、ただ苦い顔で立っていた。
「…まさか…忘れたのか…?」
同じく聞こえないレベルで、聖都が話す。しかし、私は佇んだまま。
「…!」
悔しかったし、恥ずかしかった。ここにはわざわざ関西から来てくれた私の両親も、部員全員の両親も、それ以外の参加者の皆さんも、大勢いた。けれど、そんなことじゃなかった。
演劇部員として、最後の舞台に立っている先輩達。恥をかかせている私が、たまらなく悔しく、恥ずかしく、そして、憎かった。
「陽未さん!」
長い長い沈黙の後、倒れていたはずの耶色先輩…家政婦が立ち上がり、叫んだ。
「えっ…」
「…動けないんじゃ…?」
ランディ先輩、もとい耀兵が尋ねる。
「残念でしたね、陽未さん」
そして家政婦は、ポケットから折りたたまれた台本とシャーペンを取り出した。
「これは私の説明書なのですが…」
その言葉をBGMに、シャーペンが台本の上を滑る。
「線を引いておいたこちら、ご覧になって下さい」