Four you ~2+2=4=2×2~
今、実際にテレビ電話の画面を拡大して演技をしている。そのため、スマホに向けられたその紙は、スマホの向こう側でははっきりと見えた。そして、そこには…。

「『予備バッテリー』…?」

流れ星の跡のような線で、その七文字が書かれていた。その文言の不可思議さから、思わず口に出してしまった。

「そう、予備バッテリーです」

しかし家政婦は、あらかじめ口に出すことが分かっていたかのように続けた。

「私の体に備わっている予備バッテリーが起動したんです。今みたいにNホームサービスの機能が停電したりしてしまうと、困りますからね」
「じゃあ…さっき倒れたのは…?」

耀兵がまたしても理解不能といった表情になる。

「予備バッテリーが起動するまで、少々時間がかかるんです。それなのに予備バッテリーで私の機能を賄える時間はあまり長くなくて…これからの改善策ですね」

家政婦は微笑み、そして続けた。

「実はこの映像も、本当はテレビに流してなんていないんです。ただカメラとテレビを繋いだだけ。…そうですよね、カメラマンさん?」
「は、はい…」

カメラマンの立ち居ふるまいからは、焦りと驚きが見て取れた。

「陽未さん」
「…」

何も言えずに立ちすくむ私…陽未を諭すように、家政婦の柔らかい言葉が、ゆっくり、染み込んでいく。
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