Four you ~2+2=4=2×2~
「ホンマにすいませんでしたっ…!」
公演が終わり、部員全員と尾張先生とで体育館の裏に出る。先ほどまで雨が降っていたらしく、地面は濡れていた。雨を出し切った雲が、まだ空に鎮座している。
私は深々と、頭を下げた。自分では「深々と」なんて言ってはいるけど、足りないくらいだ。
「謝ることないって、詩音ちゃん」
そう言ってなだめてくれる耶色先輩の目にも、少しばかり涙が浮かんでいた。
「だって…これが先輩達の最後の舞台なんですよ? なのに、ウチ…台無しにしてもうて…」
「台無しになんてなってない!」
先輩の声は、強かった。そして耶色先輩は、私に飛びつき、抱きしめてくれた。
「この劇…今まで見たことないくらい、楽しめたんだよ!? 台本読んだ時から、もうやりたいって気持ちがどんどん溢れて来て、実際にやってみたら、どんどん毎日が楽しくなって、詩音ちゃんってやっぱりすごいなって、そう思えた! …だから、恩返しがしたいって、ボクはずっとそう思ってた」
「…恩返し…?」
「ボク達を楽しませてくれたお礼。詩音ちゃんに何かあったら、出せる助け船を全部出そうって、そう思ったんだ。だから、詩音ちゃんが謝ることなんて全然ない。ボク達はただ、アドリブをして、詩音ちゃんに恩返しをしただけだから」
恩返し…その言葉を聞くのも久々なら、それをされるのはもっと久しぶり、むしろ初めてだった。
「…だよね、皆?」
「YES! THANK YOU、詩音!」
「予定とは違うものにはなったけど、いい舞台になったわ」
「この思い出は、絶対忘れられないものになると思います!」
「やっぱり詩音、天才だよ」
「アタシだったら、あんな感じになったらもう二秒で倒れてたもん」
「…ありがとう…詩音…」
「親友として誇らしいぜ!」
私の方に顔を置いたままの耶色先輩が、「先生からも何か言って下さいよ」とささやく。…むしろ私の方がはっきりと聞こえるのだが…。
…しかし先生は、そこにはいなかった。校内警備に行ってしまったのだろうか…?
公演が終わり、部員全員と尾張先生とで体育館の裏に出る。先ほどまで雨が降っていたらしく、地面は濡れていた。雨を出し切った雲が、まだ空に鎮座している。
私は深々と、頭を下げた。自分では「深々と」なんて言ってはいるけど、足りないくらいだ。
「謝ることないって、詩音ちゃん」
そう言ってなだめてくれる耶色先輩の目にも、少しばかり涙が浮かんでいた。
「だって…これが先輩達の最後の舞台なんですよ? なのに、ウチ…台無しにしてもうて…」
「台無しになんてなってない!」
先輩の声は、強かった。そして耶色先輩は、私に飛びつき、抱きしめてくれた。
「この劇…今まで見たことないくらい、楽しめたんだよ!? 台本読んだ時から、もうやりたいって気持ちがどんどん溢れて来て、実際にやってみたら、どんどん毎日が楽しくなって、詩音ちゃんってやっぱりすごいなって、そう思えた! …だから、恩返しがしたいって、ボクはずっとそう思ってた」
「…恩返し…?」
「ボク達を楽しませてくれたお礼。詩音ちゃんに何かあったら、出せる助け船を全部出そうって、そう思ったんだ。だから、詩音ちゃんが謝ることなんて全然ない。ボク達はただ、アドリブをして、詩音ちゃんに恩返しをしただけだから」
恩返し…その言葉を聞くのも久々なら、それをされるのはもっと久しぶり、むしろ初めてだった。
「…だよね、皆?」
「YES! THANK YOU、詩音!」
「予定とは違うものにはなったけど、いい舞台になったわ」
「この思い出は、絶対忘れられないものになると思います!」
「やっぱり詩音、天才だよ」
「アタシだったら、あんな感じになったらもう二秒で倒れてたもん」
「…ありがとう…詩音…」
「親友として誇らしいぜ!」
私の方に顔を置いたままの耶色先輩が、「先生からも何か言って下さいよ」とささやく。…むしろ私の方がはっきりと聞こえるのだが…。
…しかし先生は、そこにはいなかった。校内警備に行ってしまったのだろうか…?