Four you ~2+2=4=2×2~
そういうわけで、翌日から私は、尾張先生のことを一人の先生としてしか見ないように努力し始めた。厳しい試練になるかと思ったが、何せ自分から言い出したことなので、思いのほか時間は要さなかった。
「…ふぅ…」
先生に代わる私の恋愛対象はまだ見つかっていないが、まだあと二年以上ある。ゆっくり探せばいい。なんて、気ままに考えていた。
…変わったな、私も。ふと、そんな感傷が頭をよぎった。
ここに入ったばかりの私は、もっとがめつくて、人気者になりたいという意欲が強くて、それで空回りして、悩んで、誰かに助けられて、そんな人間だった。
だけど今は、そういう角が取れて、誰かに助けられる所は変わっていないものの、以前ほど空回りすることもなくなった。
…これが「成長」という現象だったらいいな。もしそうなら、もっと成長できそうな気がする。
「津田さん」
そんなある日、久しぶりに先生に話しかけられた。夕日が校舎に差し込む頃だった。
「どないしたんですか?」
「ちょっと…いいかな?」
先生に連れられやって来たのは、中庭だった。読書にうってつけのベンチが、オレンジ色に輝く。
「…この前あげた本、読んでくれた?」
「『クリスタル』ですか?」
「うん。…感想、聞きたくなってさ」
「…ふぅ…」
先生に代わる私の恋愛対象はまだ見つかっていないが、まだあと二年以上ある。ゆっくり探せばいい。なんて、気ままに考えていた。
…変わったな、私も。ふと、そんな感傷が頭をよぎった。
ここに入ったばかりの私は、もっとがめつくて、人気者になりたいという意欲が強くて、それで空回りして、悩んで、誰かに助けられて、そんな人間だった。
だけど今は、そういう角が取れて、誰かに助けられる所は変わっていないものの、以前ほど空回りすることもなくなった。
…これが「成長」という現象だったらいいな。もしそうなら、もっと成長できそうな気がする。
「津田さん」
そんなある日、久しぶりに先生に話しかけられた。夕日が校舎に差し込む頃だった。
「どないしたんですか?」
「ちょっと…いいかな?」
先生に連れられやって来たのは、中庭だった。読書にうってつけのベンチが、オレンジ色に輝く。
「…この前あげた本、読んでくれた?」
「『クリスタル』ですか?」
「うん。…感想、聞きたくなってさ」