Four you ~2+2=4=2×2~
初めての、杏樹の味方だった。…いや、正確にはまだそう決まったわけじゃなかった。だけど杏樹にとっては、痛みの種が飛んでくるわけでもなければ、耳が枯れるような言葉の雨が降るわけでもない。それだけで、心を開くには十分過ぎた。
「…田上美月って生徒…知ってますか…?」
「田上か…」
「…知ってるんですか…?」
「ああ。…田上にやられたんだとしたら、厄介な代物だな…」
男子生徒が苦い顔で頭を抱える。
「…アイツの横暴には、俺も呆れてた。クラスを牛耳ったつもりにでもなってるらしいが、アイツは上っ面の付き合いしかしてない。それにストレスが溜まって、解消法として今回のことを思いついたんだとは思うけど…いくら何でもやり過ぎだろ…!」
血管が浮き出そうなほど強く握られた男子生徒の拳は、杏樹の体ではなく、校舎の壁に突き付けられた。
「あの…」
「…悪い。ついカッとなった…」
右手を抑えていたが、壁を殴ったその右手からは血が流れていた。
「あっ…大丈夫ですか!?」
杏樹はとっさにハンカチを取り出し、男子生徒の手にあてがった。
「大丈夫だ。こんな怪我、一週間もすれば忘れるくらいに治る」
そして男子生徒は、近づいた杏樹の体を、思い切り抱きしめた。そしてハンカチを持たない左手で、杏樹の頭を撫でた。
「…よく頑張ったな、下村」
「…」
「田上時代を終わらせてやるよ。こんな苦痛は、もう終わる」
「…田上美月って生徒…知ってますか…?」
「田上か…」
「…知ってるんですか…?」
「ああ。…田上にやられたんだとしたら、厄介な代物だな…」
男子生徒が苦い顔で頭を抱える。
「…アイツの横暴には、俺も呆れてた。クラスを牛耳ったつもりにでもなってるらしいが、アイツは上っ面の付き合いしかしてない。それにストレスが溜まって、解消法として今回のことを思いついたんだとは思うけど…いくら何でもやり過ぎだろ…!」
血管が浮き出そうなほど強く握られた男子生徒の拳は、杏樹の体ではなく、校舎の壁に突き付けられた。
「あの…」
「…悪い。ついカッとなった…」
右手を抑えていたが、壁を殴ったその右手からは血が流れていた。
「あっ…大丈夫ですか!?」
杏樹はとっさにハンカチを取り出し、男子生徒の手にあてがった。
「大丈夫だ。こんな怪我、一週間もすれば忘れるくらいに治る」
そして男子生徒は、近づいた杏樹の体を、思い切り抱きしめた。そしてハンカチを持たない左手で、杏樹の頭を撫でた。
「…よく頑張ったな、下村」
「…」
「田上時代を終わらせてやるよ。こんな苦痛は、もう終わる」