Four you ~2+2=4=2×2~
輪に入る時だけじゃない。自分が輪を作って話す時だって、中学の経験が邪魔をする。

いざとなった時に、全く言葉が出てこなくなるのだ。

周りから見れば、全然そんな感じがしないのかもしれない。それに、私だってそんな様子を出さないように努めている。でも心の中では冷や汗をかきまくり、心拍数は倍以上になり、一つの言葉を出すのにもかなりの労力を必要としていた。

きっと私は、俗に言う「コミュ障」なのだろう。周りからは幸いにもバレていないが、いざ心の内を見透かされたら、その瞬間にそのレッテルを貼られることになる。

喋ると関西弁になってしまうのだって、それを後押ししていた。

ここでは、関西弁で話している人なんて一人も見たことがない。まだここに来て日が浅いから、というだけなのかもしれないが、多くて二、三人だろう、という哀しい予想を立てるのは容易だった。

…それを解消するために、いや、それを隠せるレベルになるまで多くの人が勝手に話してくれるように、小説を書くのを始めた。

自分の小説が話題になれば、話す機会も増えて、私のこの症状も治るだろう、なんて甘い夢を見ていた。

翻って、現実を見てみる。

話せたのは最初だけ。それも、連絡先の交換程度。有名人の連絡先を知っているだけで自分のステータスが上がる、とテレビでやっていた記憶があるが、その通りだ。

私は自分のステータスを上げるどころか、人のステータスを上げるための便利なツールにしかならなかったのだ。

…こんなことなら。

こんな散々な結果になってしまうなら。

もう筆を折って、普通の女子高生になろうか。

なんて思っていた時にあの人と出会ったのは、偶然か、必然か…。
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