Four you ~2+2=4=2×2~
氷室兄弟を説得してからは、話は早かった。

何も知らない他のクラスメートに嘘を吹き込むのは、想像の何倍も簡単だった。私も私で、嘘をつくとなると不思議なことに言葉が沸いて出てきた。そして私が流暢に話したからだろうか、クラスメート達もそれを信じきった。

次の休み時間からは、私の狙い通り、手塚姉妹と話をする人物は一人もいなくなっていた。寮に戻る時間になると、二人は誰よりも早く、寮に戻って行った。

「…ふぅ…」

二人が教室を立ち去る時の涙を、私は見逃さなかった。思えば、その時から早くも、後悔の念が芽生えていたのかもしれない。

「…」

寮の部屋のドアをノックするのにも、少し勇気が必要だった。もう今日は部屋から出ないのに、まだあと十二時間くらい今日が続くような気がした。

「は~い…」

ドアの前にしばらく立っていると、映奈がドアを開けた。

「あっ…何だ、詩音か~」
「先生かと思って焦ったじゃん…」
「堪忍な、二人とも。ウチやって知らせたらよかってんけど…」
「いいっていいって」
「…ってかアタシ達も、詩音が戻ってこないから心配してたの」

部屋から顔を覗かせた二人は、驚くほどに昨日と変わっていなかった。もうお風呂にも入ったから、涙の跡さえも消えて見えなくなっていた。

それから消灯時間までは、特に変わった様子もなく、翌日提出する宿題を済ませたり、くだらない話で盛り上がったりと、何の変哲もない時間を過ごした。

そして消灯時間となり、私達はベッドに潜り、目を閉じた。
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