Four you ~2+2=4=2×2~
その夜中のこと。

「…何なん…?」

誰かのすすり泣くような声で、目が覚めた。

「…誰…?」

重いまぶたを無理矢理こじ開けると、二段ベッドの下側に、手塚姉妹が二人ともいた。

「…二人とも…何してるん…?」

声を掛けると、二人が振り向いた。片方の目には、涙が光っているのがかすかに見えた。

「あっ…ゴメン、起こしちゃって…。関係ないから大丈夫。寝てていいよ…」

二人が何のことで涙を流しているのかは、想像に難くなかった。私が送ったメールと、友達が誰もいなくなったことに対してだ。スマホに届いた奇妙さと恐怖をはらんだメール、突然話してくれなくなったクラスメート。たった二つのことだけれど、二人に涙を流させるには十分すぎるほどだった。

それなのに…二人は私を疑うどころか、私のことを気遣ってくれていた。

「…アホちゃうか、この二人…」

犯人はすぐ傍にいるのに、二人は全く気づいていない。

「…ホンマに…」

そんな景色を見て、私は勝った気になっている。

「…ホンマにアホちゃうか、ウチ…!」

何で勝った気でいられるんだ。自分自身に問いただしたくなった。クラスで誰も話してくれなくても、怒ったりなんてしない。そんな二人に私が勝とうとすることがそもそも間違っていたのだ。人との会話を自分のせいで閉ざし、いつしか会話のやり方すら忘れかけた私は、二人よりも人気になれるはずがないのだ。
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