Four you ~2+2=4=2×2~
「…どういうことなん…?」
「詩音!」
「詩音!」

見事にシンクロしたこの声は、もはや見なくても誰の声かは分かった。

「映奈…若奈…」
「全く、どんな思い詰め方したらそんなことになるの…」
「アタシ達、やっぱり作家先生の心はよく分かんないんだよね…」
「何で…何でなんよ…」
「私達があんなことで怒ると思った?」
「むしろその方が面白いじゃん。順当に進んでもつまんないだけだもん」
「あんなことって何だよ、映奈?」
「…電話で言ってた『秘密の理由』だろ…」

二人は私の言った秘密を文字通り秘密にしながら、氷室兄弟を呼んだらしかった。

「詩音」

先生の手に握られた私の手を、若奈の手がさらに握って、私を立ち上がらせる。先生が手を話すと、自然な流れで映奈が抱きついてきた。

「映奈…」
「ファントムの秘密を知っちゃったんだもん。そんな子を傷つけることなんて、私には無理」
「ちょっと~、映奈だけずるい~!」

子供のような声。そして、私を抱きしめている人物が、映奈から若奈に変わった。

「アタシ達は、何があっても詩音の味方だから。ね?」
「うん」
「…ああ…」
「当たり前だ!」
「僕も同じく」

この数日で、私はどれだけ涙を流しただろう。多分一生の三分の二くらいの涙を、これまでで使った気がする。

空には数個だけ、星が見えていた。ビルの明かりが眩しすぎただけだったようだ。

…そして、この頃から、私は「漠然とした」恋心を抱くようになる。
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