Four you ~2+2=4=2×2~
実は、二人にはもちろん言っていないのだが、今書いている小説は、くしくも今の状況と非常に似ているのだった。

元々、自分を主人公にした小説を書いてみようと思っていたので、主人公はネット小説家だったし、舞台も全寮制の高校だった。だけど、主人公の友人が双子で、その恋人も双子、そして四角関係を築いているというのは、全くの偶然だった。

私が小説にメッセージを込めようと思った理由も、そこにあった。

四人から受け取った「一人じゃない」という証を、この小説の中の私にも持っていて欲しかった。そう感じるのは、もはや必然だった。

「…」

そして今書いている場面は、今の状況から見ると少し「先」を行っていた。

詳しくは言えないが…小説内での手塚姉妹に相当する二人は、小説内での氷室兄弟のそれぞれの好きな方と接近するために、ある作戦を取っていたのだ。それも、小説内での私のアイデアで。

「…」

後ろを見てみると、手塚姉妹は楽しそうに談笑していた。だけど、恋人が自分に興味がないということを知って、ショックを全く受けていないというわけはなかった。二人は「その方が面白い」と言ってはいたけれど、いくら面白くても玉砕してしまうなら、本末転倒だ。

「…」

このままでいいのだろうか? いくら考えても答えの出ない問いは、やがては私を諦めさせた。

翌日。

「…二人はどないなんやろ?」

手塚姉妹のことばかり気にかけていても仕方がない。そう考えた私は、もう一組の当事者である氷室兄弟の心中を探ることにした。
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