Four you ~2+2=4=2×2~
第10話~Xチェンジ~
「出てきてくれないの?」
3D映像の家政婦が、ドアの向こうにいる女子高生に声を掛ける。何度もそうしているが、その女子高生はスマホをいじったまま、一向にドアの外に出ようとしない。
「すみません…部屋に引きこもってばかりで…まあ、大方スマホでもいじってるんだと思いますよ」
彼女の父親が家政婦に謝罪する。
「謝ることないですよ」
家政婦はそんな父親に笑顔を見せる…はずだ。
「私はホログラム。人間じゃないですし、そもそも実体なんてありませんが…この子が心を開いてくれないからこそ、こちらもファイトがわいてくるんですよ」
その時、手を打つ音が一つ聞こえた。
「オッケー、結構形になってきた」
尾張先生が、三人に向かって声を出す。
「ただ…直都君、謝る時にもうちょっと笑顔を見せてもいいかも」
「…分かりました…」
父親に扮していた直都が、おおよそ笑顔なんて出なさそうなポーカーフェイスで答える。
「あと部長、『ファイトがわいてくるんですよ』の所、手とかつけてみる? 元気っぽいアピールをする、みたいな感じで」
「う~んと…こんな感じですか?」
家政婦に扮していた耶色先輩が、両手を胸の前に持ってきて体を軽く上下させる。
「そうそう、そんな感じ。で…津田さん」
「はい」
スマホをいじる女子高生に扮していた私にも、顧問である尾張先生からのご指導が入った。
…「クリスタル」を貰ってからいくらか時が過ぎた。文化祭まで、あと二週間。
3D映像の家政婦が、ドアの向こうにいる女子高生に声を掛ける。何度もそうしているが、その女子高生はスマホをいじったまま、一向にドアの外に出ようとしない。
「すみません…部屋に引きこもってばかりで…まあ、大方スマホでもいじってるんだと思いますよ」
彼女の父親が家政婦に謝罪する。
「謝ることないですよ」
家政婦はそんな父親に笑顔を見せる…はずだ。
「私はホログラム。人間じゃないですし、そもそも実体なんてありませんが…この子が心を開いてくれないからこそ、こちらもファイトがわいてくるんですよ」
その時、手を打つ音が一つ聞こえた。
「オッケー、結構形になってきた」
尾張先生が、三人に向かって声を出す。
「ただ…直都君、謝る時にもうちょっと笑顔を見せてもいいかも」
「…分かりました…」
父親に扮していた直都が、おおよそ笑顔なんて出なさそうなポーカーフェイスで答える。
「あと部長、『ファイトがわいてくるんですよ』の所、手とかつけてみる? 元気っぽいアピールをする、みたいな感じで」
「う~んと…こんな感じですか?」
家政婦に扮していた耶色先輩が、両手を胸の前に持ってきて体を軽く上下させる。
「そうそう、そんな感じ。で…津田さん」
「はい」
スマホをいじる女子高生に扮していた私にも、顧問である尾張先生からのご指導が入った。
…「クリスタル」を貰ってからいくらか時が過ぎた。文化祭まで、あと二週間。