Four you ~2+2=4=2×2~
…覚えておいでだろうか? 今私が書いている小説は、この現実の「少し先」を行っているという話を。

その話をした時、小説の中の手塚姉妹は「ある作戦」を実行していたと言った。その作戦こそ…この「入れ替わり作戦」だった。

今にして思えば、この時二人に入れ替わりを勧めたのも、小説に書いた入れ替わりが作用していたのだろう。フィクションには往々にして、作者の理想というものが入るから。

だけど、小説には上手くいくことばかりを書くわけじゃない。ハプニングを発生させたり、色々な不運も取り込んでみたりなど、波乱万丈な時を描く。それが意味することは、少なからず分かるだろう…。

そして、翌朝。

「…よし」
「…よし」

私に背を向けて立つ二人の声がシンクロする。

「準備できた?」
「うん」
「大丈夫…なはず!」

二人が振り返る。

「どっちがど~っちだ?」
「どっちがど~っちだ?」

左に立つ人物の髪は左わけ、右に立つ人物は右わけ。つまり…。

「左が若奈! せやろ?」
「ブブ~!」
「アタシはこっち」

右の人物が手を上げる。

「…もう完璧やん! 絶対入れ替わったって気づかれへんって!」

入れ替わっていると分かっていながらも、あまりにそっくりなためついいつもの髪で判断してしまった。

「…じゃあ、昨日の作戦通り、ね」
「気づくかな、直都…」

そんな、他人から見ればバッチリな、ただし本人達から見れば不安な「入れ替わり作戦」が、ただいま始まったわけである。
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