Four you ~2+2=4=2×2~
「それにしても、まさか作家と同じ寮の部屋になるなんてね…」
「しかも全然知らない作家さんじゃなくて、アタシ達もよく知ってる人だし…あ、そうだ」
若奈が荷物の中から一冊の本を取り出す。ブックカバーがされていたため、何の本かまではその時は分からなかった。だけど、その正体はすぐに私の知るところとなった。
「ん? どないしたん?」
そして若奈は、ブックカバーを外し、表紙をめくった。制服の胸ポケットに刺さっていたサインペンと一緒に。
「サインして下さい、C-ONさん!」
「サイン…?」
「だってこれ…」
表紙がもう一度閉じられる。その時に、はたと気づいたのだ。「ファントム」と題されたその本は、私のデビュー作にして、今現在私の最新刊でもある小説。
「…持っててくれたん?」
「アタシだけじゃなくて、映奈も持ってる。ね?」
「うん」
映奈も若奈に一足遅れて、ブックカバーを外した「ファントム」を持ってきてくれた。
「書籍化するって知ってから、絶対買おうって二人で決めてたの」
「…ってことは、サイトも知ってたん?」
「そうそう。レビューも書いたんだ。私が『東雲』で、若奈が『西風』ってユーザーネーム」
「あっ、あれって…そうやったん!?」
「うん。だから…お願いします、C-ON先生」
「私の分もお願いします!」
そう言われ、私はサインを書くこととなった。…もっともサインなんて決めていなかったので、「C」「O」「N」の三文字を筆記体の大文字で書く、それくらいしかできなかった。だけど二人は、著名人に会えたということにテンションが上がり、喜びの舞でも舞いそうな感じだった。
…かくして、私の両里生としての生活が始まったわけである。恐らく人生で最も濃密になるであろう時間が、スタートしたのだ。
「しかも全然知らない作家さんじゃなくて、アタシ達もよく知ってる人だし…あ、そうだ」
若奈が荷物の中から一冊の本を取り出す。ブックカバーがされていたため、何の本かまではその時は分からなかった。だけど、その正体はすぐに私の知るところとなった。
「ん? どないしたん?」
そして若奈は、ブックカバーを外し、表紙をめくった。制服の胸ポケットに刺さっていたサインペンと一緒に。
「サインして下さい、C-ONさん!」
「サイン…?」
「だってこれ…」
表紙がもう一度閉じられる。その時に、はたと気づいたのだ。「ファントム」と題されたその本は、私のデビュー作にして、今現在私の最新刊でもある小説。
「…持っててくれたん?」
「アタシだけじゃなくて、映奈も持ってる。ね?」
「うん」
映奈も若奈に一足遅れて、ブックカバーを外した「ファントム」を持ってきてくれた。
「書籍化するって知ってから、絶対買おうって二人で決めてたの」
「…ってことは、サイトも知ってたん?」
「そうそう。レビューも書いたんだ。私が『東雲』で、若奈が『西風』ってユーザーネーム」
「あっ、あれって…そうやったん!?」
「うん。だから…お願いします、C-ON先生」
「私の分もお願いします!」
そう言われ、私はサインを書くこととなった。…もっともサインなんて決めていなかったので、「C」「O」「N」の三文字を筆記体の大文字で書く、それくらいしかできなかった。だけど二人は、著名人に会えたということにテンションが上がり、喜びの舞でも舞いそうな感じだった。
…かくして、私の両里生としての生活が始まったわけである。恐らく人生で最も濃密になるであろう時間が、スタートしたのだ。