Four you ~2+2=4=2×2~
「ゴメン、待たせちゃって…」

若奈の格好をした映奈が、聖都の傍に駆け寄る。

「…いや…俺も今来たところだ…」
「よかった。…じゃ、行こう」
「…ああ…」

このペアで遊園地に行くことを計画したのは、驚くなかれ、聖都の方だった。遊園地でもテンションが上がっている様子は今のところ微塵も感じられないが、何か意図があるのだろうか?

「私、ここ来たことないんだ」
「…そうなのか…?」
「うん。だから、色々案内してね」

映奈がそう言うと、数秒の沈黙が流れる。

「…聖都? どうしたの?」
「…実は…」

実は、なんて改まった口調に、先生も私も固唾を飲む。

「…俺も…来るのは初めてなんだ…」
「…えっ?」

映奈の声が少し上ずる。

「…この遊園地には…俺は今日初めて来た…」

無駄にカロリーを使ってしまった気になったが、その後の聖都の言葉はこう続いた。

「…来たことがないから…この場所を選んだ…」
「ん? どういうこと?」
「…もし俺が来たことがある場所だったら…俺達の間に温度差が生まれてしまう…それは避けたいからな…」

聖都は口下手で不器用な所があるから上手く言えなかっただけだと思うが、要は「一緒に楽しみたい」ということだろう。そんな風に解釈した。
< 84 / 128 >

この作品をシェア

pagetop