Four you ~2+2=4=2×2~
第2話~ファントム~
…ところで、その「ファントム」とはいかなる内容なのか。この後の話にも大きく影響してくるので、ざっくりとだけれどあらすじをまとめてみようと思う。
当時の私は中三だったのだが、小説の舞台には高校を選んでいた。
私立景浦高校に通う下村杏樹(シモムラ・アンジュ)は、クラスで一番地味な存在で、休み時間は読書ばかりしている、そんな女子高生だった。入学式当日に体調を崩してしまったせいで他の生徒より一歩出遅れているというのも、その原因の一つだった。
だけどそれは男子目線での話で、女子から見ればそういう地味な生徒は日頃のストレスを解消するための、いわば「生けるサンドバッグ」になるのは自明だった。
入学してから三カ月が経過した七月のある日のこと、ついにストレスをため込んだ女子達のゴミ処理場として、杏樹が選ばれてしまった。
いつものように杏樹が一人で登校していると、校舎に入る時に、頭にある違和感を感じた。上を見ると、田上美月(タノウエ・ミヅキ)というクラスのリーダー格の女子が、取り巻き数人とともに、校舎の屋上から杏樹を見下ろして笑っていた。写真を取っている取り巻きも何人かいた。
…そしてそれと同時に、杏樹の周りで悲鳴が上がり始めた。近くにいた生徒達が、一斉に杏樹の方から離れる。自分の立ち位置上周囲のことには無関心だった杏樹も、それにはさすがに異変を感じた。先ほどの頭にある違和感と何か関係があるかもしれない。そう考えた杏樹は、頭頂部を触った。
するとどうだろうか。「潤いがある」とは言いながらも基本的に乾いてはいるはずの髪が、水ではない、何やらよく分からない液体のようなもので濡れていたのだ。急いで手を確認すると、指は白く汚れていた。
…今は話に謎を含ませたままにしておく必要は無いので先に言っておくが、杏樹が頭に違和感を感じたあの時、美月は事前に採取しておいた鳥のフンをスポイトで杏樹の頭の上に垂らしたのである。それがごく微量だったのがまた狡猾で、あまりにも多量に乗っていると人為的犯行を疑う者が現れてしまいそうなため、あえて少なめにしておくことで単なる不運であるように見せかけていたのだ。
そしてその様子を写真に収めて学内にばらまくことで、杏樹の立場を貶め、自分達がサンドバッグにすることをとがめられないようにする。これが、美月達の犯行計画の一連の流れだった。
当時の私は中三だったのだが、小説の舞台には高校を選んでいた。
私立景浦高校に通う下村杏樹(シモムラ・アンジュ)は、クラスで一番地味な存在で、休み時間は読書ばかりしている、そんな女子高生だった。入学式当日に体調を崩してしまったせいで他の生徒より一歩出遅れているというのも、その原因の一つだった。
だけどそれは男子目線での話で、女子から見ればそういう地味な生徒は日頃のストレスを解消するための、いわば「生けるサンドバッグ」になるのは自明だった。
入学してから三カ月が経過した七月のある日のこと、ついにストレスをため込んだ女子達のゴミ処理場として、杏樹が選ばれてしまった。
いつものように杏樹が一人で登校していると、校舎に入る時に、頭にある違和感を感じた。上を見ると、田上美月(タノウエ・ミヅキ)というクラスのリーダー格の女子が、取り巻き数人とともに、校舎の屋上から杏樹を見下ろして笑っていた。写真を取っている取り巻きも何人かいた。
…そしてそれと同時に、杏樹の周りで悲鳴が上がり始めた。近くにいた生徒達が、一斉に杏樹の方から離れる。自分の立ち位置上周囲のことには無関心だった杏樹も、それにはさすがに異変を感じた。先ほどの頭にある違和感と何か関係があるかもしれない。そう考えた杏樹は、頭頂部を触った。
するとどうだろうか。「潤いがある」とは言いながらも基本的に乾いてはいるはずの髪が、水ではない、何やらよく分からない液体のようなもので濡れていたのだ。急いで手を確認すると、指は白く汚れていた。
…今は話に謎を含ませたままにしておく必要は無いので先に言っておくが、杏樹が頭に違和感を感じたあの時、美月は事前に採取しておいた鳥のフンをスポイトで杏樹の頭の上に垂らしたのである。それがごく微量だったのがまた狡猾で、あまりにも多量に乗っていると人為的犯行を疑う者が現れてしまいそうなため、あえて少なめにしておくことで単なる不運であるように見せかけていたのだ。
そしてその様子を写真に収めて学内にばらまくことで、杏樹の立場を貶め、自分達がサンドバッグにすることをとがめられないようにする。これが、美月達の犯行計画の一連の流れだった。