Four you ~2+2=4=2×2~
二人だって、こんなことを言うのは辛い。それは十分に知っていた。傲慢かもしれないが、きっと二人も、私のことを友達だとは思ってくれているだろう。友達が減る、その痛みは、少し違うかもしれないが私も分かっていた。

「…」

ちょっと考えさせて、と言うわけにもいかなかった。それは逃げることと同じ。私はこの場にいる者として、決断を下す必要があった。そしてその決断というものも、おおよそ一択だった。

「…分かった」

思えば、私は元々、全くもって無関係の人間だったのだ。寮の部屋こそ一緒ではあれど、恋愛関係なんて最初から他人の話。自分の好きな人を二人も好きになっている、とかならばまた別だが、そういうわけでもない。

…これが、正解なんだ…。

「悪いな、詩音。気遣わせて」
「ええよ、謝らんでも」
「…じゃあな…おやすみ…」

二人が男子寮へと足を進める。

「…これでええねん…」

そうだ、これでいい。体に染み込むように、できるだけ優しく自分自身に言い聞かせる。

…他人と関わりを持とうとし過ぎていたのかもしれない。唐突に、そんなことを思った。

今まで人と関わりを持ってこなかったから、うまく生きられなかった。だから人とのかかわりを大事にしよう。そう思うのは当然のことだろうが、私は少々、それに縛られ過ぎていたのかもしれない。

過ぎたるは及ばざるがごとし。この言葉を作り出した人は天才だ。もっとドライに生きよう。そうだ、もっと…。
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