Four you ~2+2=4=2×2~
「…」

二人はまだ、寮の中には入っていなかった。それが確認できると、私は衝動的に走り出していた。

「…詩音…!?」
「どうしたんだよ?」
「はぁ、はぁ…」

自分でも驚くほど、息が荒れていた。火事場の馬鹿力というものだろうか…。

「…堪忍な、二人とも…」
「…何だ…?」
「何謝ってるんだよ?」
「ウチ…やっぱり二人のお願いには応えられへん…」

身勝手だと分かっていながらも、私の意志はそうなっていた。

「…何でだ…?」
「突然変更って言われても、もう決まったことだし」
「映奈と若奈のこと…考えてみてん。そしたら…最後まで責任持たなアカンって、そう思ってん」
「…責任…?」
「一度首を突っ込んでもうた以上、どう頑張っても他人にはなれへん。そこで他人のフリをするのは、逃げることと一緒や。せやから、ウチは恋が成就するか、砕けるか…どっちにしても、その結末を最後まで見とかんとアカン。ここで他人になったら、映奈と若奈を放っとくことになるから」

ドライになんて、やっぱり生きられない。少なくとも、こんな中途半端なタイミングではドライになれない。

「…詩音…」

聖都は呆気にとられた様子だった。だけどそれを吹き飛ばすかのように、笑い声が聞こえた。

「ハハハハっ! いや~、参ったな~」

その声の主は、直都だった。
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