Four you ~2+2=4=2×2~
「…嘘…」
「じゃない…よね…?」
「うん。ホンマの話。何なら二人とも外におると思うし、聞いてみる?」

映奈と若奈。恋する乙女の究極体とも言える二人の目は輝きを帯びていた。

「…ゴメン、ちょっと行ってくる!」
「すぐ戻るから、それまで待ってて!」

二人は寮を飛び出し、外で待つ二人に思いを伝えに向かった。私もその様子を、窓から顔を出して見てみる。

「…えっと…」
「どうする?」

何やら耳打ちする手塚姉妹。そして、小さい「せーの」を挟んで、シンクロした。

「よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」

初めて、恋愛というものの一部始終を見た。この世界に七十何億人かいる人間のうち二人が、お互いに好きであるという確率。その天文学的数字を、人は「奇跡」と呼ぶのだろう。

爽やかだった。そしていつしか、私もその「奇跡」を構成する人になりたい。そう思うようになった。そして、私と一緒に構成してくれる人も…もう、一人に絞られていた。

「こらこら、早く戻らないと怒られるぞ~?」

冗談めかして四人を寮に戻す先生の姿を、私は今までとはまた違った目で捉えていた。

…文化祭が終わったら。

あるいは、今書いている小説が完結したら。

私の気持ちを伝えよう。私を縛っているものがなくなった、その時に。
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