押しかけ社員になります!
「…大丈夫です、びっくりした後、安堵しただけですから。
あー…、えっと、…はい。確かにあれは部長のお弁当です」
しかし、目敏い、という表現はあっているのだろうか。持ち物を遠目からチェックしていたのだろうか…。
それとも…、犬のような嗅覚の持ち主なのだろうか。
…だったら、日々、色々…堪えられないだろうな。…。
「そうか。西野が昼に行く時、持って行ってくれ」
「はあ。え?はい、でも…」
…えー?!それは。何だか、公にならないですか?
「何も問題無い」
「は、あ。は、い」
あ、え?あるある、問題大有りです。
いや、いや、…どうするのですか?そもそも、食べるのも一緒?
「はぁ…。生返事しながら…何をそんなに…」
悶絶しそうにもなるでしょ?だって…いつもそんな状況になるような事ばかり言うから…。
部長が何やら困らせるからですよ?
「いや、あの…作って来た張本人が何を言ってるのって状態なんですが。
物体のある物が、こんな面倒な事になるとは…」
「面倒?面倒も何も、問題も無い。昼を一緒に食べるだけだ」
「は、あ」
えー、一緒?やっぱり食べるのも一緒?
それがある意味問題かと思われるのですが…。それを何故、問題無いとおっしゃるのか…。
またですよ?また、二人で、人気の少ない辺りで。
……ぇえい。この人がいいと言っているのだから、いいのか。
なるようになるって事よね。
「解りました。私、今日は早い方なのですが、よろしいですか?」
「問題無い」
全て…オールOKという事らしい。
「何も気を遣いませんよ?いつものように人気が少ない、あの辺りのテーブルに居ます」
「ん。俺は西野の姿が見えなくなったら解るから、それなりにフロアを出るから。
後から行くよ」
「はい。…では、お昼に、という事で」
いや、これってご飯デート?取りようによったらそうよね?…んー。
「了解。話は以上だ。
あ、西野。これ持って行け。ここでの話のダミーだ。中は急がない書類だ。
ぼちぼちやってくれたらいい物を選んでおいたから」
「はい、解りました」
受け取った。
先に退室した私は、嬉しいはずなのに、何だか疑問も湧き上がってきて、バランスが悪い気分だった。…合点がいかないからだ。
その悩んだ感じが、気力の無さに見えて返って良かったようだ。
みんなには、書類を突き返され、そうとう絞られたと勘違いされたようだった。