押しかけ社員になります!
風呂上がりにバスローブを着た。簡単にでも、また服を着るなんて…。面倒臭い。
エロおやじみたいで引くか…。いや、世間の勝手なイメージだな。…ブランデーグラスを回す訳じゃなし。バスローブはバスローブだ。風呂上りに着る物だ。
ふぅ。やっとだな西野。やっと漕ぎ着けたな。
「出たぞ~?…西野?」
なるべくいつも通りにしようと声を掛けた。静かに現れると緊張が増すだろうと思ったからだ。西野が緊張してるのは解った。
…あ。…フ…寝てるし。待ちくたびれたか。疲れたかな。それとも…食後の眠気か?ハハハ。
全く…。フッ。西野はこういうところがあるよな。何だか知らないが。本人的にはどう思っているのか…。こんな事で機を逃した事は今まで無かったのだろうか…。
「…寝るか。運ぶぞ?腕を回しておいてくれよ」
腕を取り、首に掛けさせた。気休めだけどな。
よっこらしょっ、と。抱き上げさせて貰う機会を貰っていると思えば、こんな事でもなければ、そうそう出来ない事か。普段しようとすると暴れそうだしな。…軽いもんだな、……お姫様。
仕方ない、今夜は普通に寝るか。そう思ってベッドに降ろした。…ん?
「西野…いつからだ?」
「…今、起きました」
いつまでも首に回され解かれない西野の腕は、俺をそのまま引き寄せた。
薄暗闇の中、下から見上げる西野は色っぽかった。
「…誘ってくれてるのか?」
腕を解きながらゆっくり押さえ込んだ。
「ぁ…勿論です」
無理して…強気にか?こんなにドキドキしてるじゃないか。
密着した西野の身体は、俺と同調するように激しく高鳴っていた。
「…西野……いいか?…」
頬に触れ、髪を梳いた。
「…はい」
見つめる瞳は少し潤んでいるように見えた。
…ふっくらと柔らかい唇。指先でそっと触れた。綺麗な瞳が少し揺れた。
はぁぁ…和夏…。
引き寄せられるように唇を重ねた。