押しかけ社員になります!
「部長ー!すみませーん、…出ますー」
…お?どうした…。本当に腰、駄目なのか?
「入るぞ?いいか?」
「…はい、…」
「どうした?西野」
「すみません、何も無くて…このままでは出られません」
あ、なんだ…。
「悪い悪い。これを使うか?」
袖を広げた状態を見せながら言った。大きなバスローブだ。
「え~…、裸にバスローブ…」
そもそも、そういう物だけど。でも、だって何も穿かずになんて…下…、心許ない…。みんなそんな感じで着てるの?
「そういう物だ。汗が引くまで着とけばいいよ。俺はいつもそうしている」
バスタオルなんか巻かれて出て来られるより、この方がまだマシだ…、俺的に。
「…では、取り敢えずそうします」
「ああ」
…。
「おっ、そうか。俺が居ては出られない、そうだな?」
「…はい。すみません。…速やかに退室を」
「ハハハ、解った解った。失礼いたしました」
フッ。恥ずかしいんだな…。大胆に出られるより好きだな。…。んん。
「あ、わ、部長…待ち伏せですか?」
「あ、…フ。うん、お食事にエスコートだ」
手を繋がれた。
「…凄い…。これ本当に部長が?」
私が眠っている間に作ってくれてたなんて…。
「凄いと言われる程作っていない。西野は好き嫌いは無いだろ?」
「はい」
「トマトベースのロールキャベツだ。後は別に俺が作ったって程のもんじゃない。焼いたり、盛りつけたりしただけだ」
ロールキャベツの他には、フォカッチャ?だっけ、に、ルッコラのサラダかな。クルトンと粉チーズ、黒胡椒が振ってあった。
「遅いブランチってとこだな」
「…すみません」
「何を謝る。眠れと言ったのは俺だ。…その原因も俺だ。味見はしたから食べられない代物では無いと思う。さあ、食べてみてくれ」
「はい。何だか贅沢です…。部長の作った物を頂くなんて…」