押しかけ社員になります!
俺も話がある。…しかし、今日じゃ無いといけない訳じゃない。が、いつまでも避けられるかと言えば悠長にしてもいられない。うん、だが、とにかく、今日は止めておく。
「部長?顔が部長です。何か重要な案件でもあるのでは?お休みでもお仕事があるなら、優先してしてくださって構いませんよ」
「あ、いや、ごめん。そんな事では無い」
では、さっきの私の事かしら。でも、それとは表情が違う気がするけど。
「あ、えっと、ロールキャベツはいつ覚えられたのですか?」
「ん?これか?これはもう、ずっと昔だな。会社に入った頃、旨い店があって嵌まったんだ。
だから自分でも食べたい時に食べられたらいいなと思って、それなりに研究した」
「そうなんですね。凄い…美味しいです」
「…西野」
「はい?」
「俺の考え方は建設的じゃないかも知れない。むしろ、古いタイプなのかも知れない。
一人で暮らして居るから、困らない程度に一通りの事は出来ているつもりだ。だけど、やっぱり、基本、ご飯は作って貰った物が食べたいんだ。男が作れる物なんて高が知れてる。
全くしない訳でも無い。だけどたまに作っても、自分に都合のいい時に、食べたい物を作るだけだ。だから、ご飯はなるべく作って貰いたいんだ」
「そんな事は特に何も気になりませんよ?こうして作りたい時に作るのだって、いいじゃないですか。ご飯は誰だって食べないといけない物です。
私が私の為に作っていた物が、二人分になるだけの事です。ご飯を作る事に特に改めて負担に思う事もありません。大丈夫です。私が元々全く料理をしない人間なら、そうですね…、頑張りながらめげるかも?知れませんけど。それは無いと思いますから、大丈夫ですよ」
これはさりげなくさっきの話に繋がる事でもある。ご飯を作って貰いたい事が毎日とは言わなかった。でもそれは一緒に暮らす事?作って欲しい事に変わりは無い。