押しかけ社員になります!

美味しく頂いて、ゆっくりしていた。…明日は帰らなくては。そんなに遅い時間まではいない方がいい。夜まで居ては、月曜に差し支える。
ソファーで頂いた珈琲のカップを手に立ち上がった。

「片付けちゃいます。部長はお風呂、どうぞ」

「あー、うん…そうだな」

よく見たら食器も揃ってるのよね。シンプルで、どの器も凄く好き。若い子の一人暮らしとは違うのよね。なんて言うか、全てが揃っている。

「西野…」

あ、だから…駄目ですってば。…反則ですってば。後ろから腕を回すのは…ずるいです。

「一緒に入らないのか?」

……。

「入りません。…まだ」

…。

「…そうか」

ごめんなさい…。とんだ約束破りですよね。本気のシュンなのか、…企みのシュンなのか解らないが、部長、心なしか肩を落とした?かな。
…んん!
トコトコッと追い掛けて、後ろから抱き着いた。

「…ごめんなさい。…何か、勢いでなら入れます。でも…入りますって入るのは、…恥ずかしいです」

「いいんだ、西野。そんなに真面目に受け止めるな。言ってみただけの事だ。例えば今みたいな事かな。こうして…このまま…」

部長…、腕を取られて私の方に向き直った。腰に腕を回された。唇は簡単に奪われた。
少しずつゆっくりと食まれていると、もう…。力が抜けてしまう。あ。軽々と抱き上げられてしまった。

「…どうだ、こんな流れなら抵抗どころじゃなくなるんじゃないのか?」

悪戯な顔をしている。確かに…。甘いです。抵抗する気力がありません。

「て、事だな。…次は、必ずな」

トンと降ろされた。
え?いいの?ですか?放免してくれるのですか?

「ん?入りたくなったのなら入ってもいいぞ?」

…意地悪な部長だ。

「チャーミングな顔も見れた事だし。…ん。じゃ入って来る」

あっ、……入浴前のキス…。行って来ますのキス?
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