押しかけ社員になります！

「…西野」

「…は、い」

「何も考えるなと言っても無理だよな？」

「…はい」

「だけど、西野の不安要素は全部取り除くから。俺を信じてくれないか？」

部長にとって信頼とか信用とか、とても大事な事。勿論一般的にも、誰にも言える事。

「…丸ごと、寄り掛かってもいいと言うのですか？こんな…、何もない普通の私ですよ？」

「ああ。嫌な事は嫌だと、出来ない事は出来ないと言ってくれ。我が儘だと思わず、不安な事はどんな事でも言って欲しいんだ。何より…俺が知らずに、何も出来ず、西野が離れてしまうなんて…嫌なんだ」

「部長…。私…世間知らずな若い子じゃないんですよ？ある程度、世の中の事は解っているつもりです。何に対しても、大人対応しなきゃいけない年齢なんですよ？最初が肝心ですよ？甘えますよ？我が儘、言い続けますよ？」

「俺からしたら、西野の我が儘なんて可愛いもんだ。ずっと可愛い奴だ」

…部長。

確かに年齢差がある。だから…、部長にしてみたら余裕なのかな。だから、我が儘も可愛いと捉らえてくれるのかな。
この包容力は部長の年齢からのモノなのかな。今まで生きて来た大人の強み。…弱さも、全部が経験。

ふぅ…。

「部長、ずっと好きでいさせてください。私、私なりのサポートをします。部長のプライベート、私に出来る事をします」

「そんなに、急に意気込まなくていい。今まで通り、普通でいいから」

「気持ちはとてもいつも揺らぐと思います。あ、好きが揺らぐのでは無いです、部長のこれからの状況に直面した時にです。…部長の立場が変化していく度、私は狼狽え不安になり、部長の都合も考えず、部長～って言ってしまうと思います」

「フ、ああ、それでいい、そのままでいい」

「部長～」

…早速、言ってしまっている。

「いいんだよ、それで。俺だって大概我が儘だ。俺の我が儘も聞いて欲しいし…。お互い様だ」