押しかけ社員になります!

ピンポン。
あ、部長。

「お帰りなさい」

「はぁ…、ただいま」

ん゙、苦しい。部長~。嬉しいですけど苦しいです。

「…頑張ったご褒美だ。どれだけ欲しかった事か。毎日、出たり入ったりで…全然会えなかった」

「お疲れ様でした。ご飯出来てます。お風呂、先に入りますか?」

…。

「う、ん。ご飯にしようか」

「はい。…部長?」

「…解ってる。解放しろ、だろ?」

「はい…ご飯です。抱擁は後で出来ます。…さあ」

今日は、ゆっくり休んで欲しいと思っている。ご飯を食べたら、一人でゆっくりお風呂に入って貰って、疲れを取って貰いたい。
多分、明日は部長の車で出掛けるのだろうから。それさえも想像であって、旅行の詳細は何一つ知らされていないのだけど。そう思っていた。それなのに…。
ご飯も入浴も済んだ部長が言った。

「出掛けるのは昼頃だから睡眠は大丈夫。それより、俺が元気を取り戻す事が大事だろ?」

「はい、そうですね」

迂闊に返事をしたものだから…。部長が止まらない。…。
旅行に行くのだから、…旅先で…で、良いのでは?
こんなにバイタリティーがあるなんて…。仕事の疲れとは別物なのかしら。男の人のそういうところが良く解らない。
私はこんなにされて力尽きてもいいの?
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