押しかけ社員になります!
+追い風?
「部長?」
「ん~?」
あ。ん~って言う返事、好き。…いけない。
「今更ですが、どうしてお弁当を?」
「あぁ、それか…。それはな…、西野が言ってる事を実現して貰おうかと思ったからだ。言った事と言うか、レポートだな。
何だ…、書いた本人が全てを把握していなかったのか?」
「お弁当を作る事は書いて無かったです。そんなに具体的には…」
そう返事をしながらも、曖昧な記憶を懸命に手繰り寄せていた。
「日常を補佐する、とあった。日常とはつまり普段だろ?
ご飯は誰だって食べる。普通はな。昼ご飯は俺の日常のほんの一部だ。西野のレポート通り、日常を補佐してくれるかどうか、言ってみた」
まあ、それほど大袈裟な気持ちは無かったけどな。
「あ、なるほど、ですね」
ピンと来なかった私が悪いのか…。ちょっとその事を言ってくれたら、どうしてって悩みながら作る事も無かったのに…。
でも…、普通に考えたら、好きだ好きだと押してる人から、お弁当を作ってくれって言われたんだから、素直に喜べば良かっただけの事なんだ。
んん~。それでも部長がすぐ、俺も好きだって、言ってくれたら良かったのよ。
「何か問題でも?」
ある。あるにはあるけど…。結局は自分に返って来そうだから仕方ないか。言わない。
「ありません」
「不服そうだが?」
「部長?」
「なんだ…」
「私の事、好きですか?」
「好きだ」
「あ。だったらいいです」
「…だったらって何だ、だったらって」
「何でも無いです」
「何でも無いって、何だ」
…もう~。部長の胸に手を着いて二回口づけた。
「だったらと、何でも無いの分です。それから」
んん、ん…。
「はぁ。…これは、私も好きです、の分です、…、あっ…」
気が付けばあっという間に下にされ…、深く繋がったまま、山ほどの口づけを返された。