押しかけ社員になります!

「…和夏…気分を悪くしないで聞いてね。お母さんも賛成は出来ないわ」

「お母さん…」

「違い過ぎるからよ。…そうね、和夏がまだ若くて、恋愛で終わるくらいの話ならまだいいわ。でもね、貴女も相手の方も、充分大人の年齢よね?
付き合うと決めた事は、当然、もう、先を…結婚も頭に置いてという事でしょ?だから、こうして改まって。
結婚は当人同士のモノだと言っても、大きな…名のある家の方の結婚は、当人だけが良かったらいいとはいかないものでしょ?
うちは普通の家庭なの。そんな結婚は成立しないわ。例え結婚したとしても、無理して和夏が辛くなるのは目に見えている。…結婚を無いものと思ったら、お付き合いも、…早く別れた方がいいわ。和夏は…三十前なのよ?この年齢で先の無いつき合いは有り得ないでしょ?
和夏はそんな人だと知っててつき合ったの?」

…。

「和夏?」

「…知らなかった。初めは、そんな人だって知らなかった」

「はぁ…そう。身長も高くて男前なら、好きになっちゃうわね…。部長さんていう肩書は、仕事上、責任を負う立場よね?」

「うん、いい加減に仕事をするような人じゃない。凄い厳しく指導してくれるし、責任感のある人よ?」

「当たり前だ」

「そう…。好きな人の事だから、贔屓目になるところはあるでしょうけど…。そんな人なら尚の事好きになるわね。きっと素晴らしい人だと思うわ」

だったらいいでしょ?…と、自分でも言えないのが悔しい。私の…自信が無くなる…不安のボーダーラインだから。私と部長では違い過ぎるっていうのは、よく解っているから。
私がずっと、不安と安心を行ったり来たり、繰り返しているモノだから。

部長に言えば、その都度、問題無いと解決してくれる。そう約束してくれている事。…なんだけど。
< 150 / 192 >

この作品をシェア

pagetop