押しかけ社員になります!

「和夏、どうやら雲は晴れたみたいよ」

「…お母さん…うん…」

これで良しにしてはいけない。私は、私に出来る事、…逃げずに精一杯しないといけない。青柳吉城という人と一緒に居る為に…。
御曹司と幸せ〜なんて…ドラマのように、夢の中に居続ける訳にはいかない。


「はぁ。和夏…許して貰えたぞ」

こんな流れになるなんて想像していなかった。何を言えるなんて言葉の準備も無いまま…。ただ、娘の幸せを願い、結婚をと願っている親御さんに申し訳なくて…。
将来、解らない事ではあるが、結婚は期待しないで欲しい事を告げに来たんだ。

「うん…」

「どうした?何だか浮かないな。嬉しくないのか?」

「そんな事ない。嬉しいです」

そう。嬉しい時は嬉しいんだから喜ばなきゃ。問題は別問題よ。

「お父さん…、父は、一人になるのは寂しいもんだって、母にぼそっと言ったようなんです。人生終わる時は一緒がいいなって。
それを聞いたら、何だか、凄く切なくて…でも父は母の事、掛け替えのない存在だと思ってるんだって…。だから、何より一緒に居られる事の大切さを思って、…それでなのかも知れません。許してくれたのって」

「う、ん。…そうだな。人生終わる時は一緒がいいって…いいな。理想だな」

「はい。本当に…」

私も、私達も、そう思える関係でずっとありたい。何だか…、日々言われる言葉がプロポーズされてるような。そんな言葉がよく発せられる。

一緒に、…共に居る。
確認し合って生きていく。感情の動きも、勿論、健康も。
好きよりもっと深いモノに、自然に変わっていけるといいな。
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