押しかけ社員になります!

「フフ。…秘書って、それはきっと口実ね。傍においておきたいのよ。目的はそれ。一緒に居たいからよ。フフフ」

「え」

「仕事をしている場所が同じでも、今は会うことは中々無いでしょ?」

以前の部長なら、会社に行けば会えた。私は部長に会いに来てますと迄言った程だ。
今はタイミングが良ければ、部長が玄関で車に乗り込む姿を見られるくらいだ。その程度にしか、会えない。じゃない、見られない。

「いくら仕事とプライベートは別だと言っても、同じ会社に居ると思ったら会いたいじゃないの」

でも…、部長はいい大人だし、そんな子供みたいな事は無いんじゃないかな…。切り替えは出来ると思う。

「男の人は案外子供っぽいモノなのよ?ヤキモチも、いくつになっても妬くものよ?だって、好きなんだから。本当に…貴女の事が好きで堪らないのね」

え、あ…だから、加藤の事も、ずっと気にするのかな。

「危険因子も排除したいものよ?ねえ、吉城」

「え?」

「知ってるわよ。さっきからそこに居るのは」

「あ、部長ー!…」

罰が悪そうな様子の部長が現れた。

「…悪いとは思ったが…和夏の携帯、GPS機能でだな…居場所は解るんだ」

「ホホホ。とんだストーカーね。貴女、つけられてたのよ?大変だこと、ホホホ」

「すまない。心配だから…何かあった時の為に、勝手に…入れたんだ」

「部長…」

理由を聞いたら、怒りはしないけど、…でも。

「…心配なんだ。あ、いつも監視してる訳じゃないからな」

「もう…立ち話も何だから座りなさい。今お茶を入れてきますから」

「あ、私が…」

「大丈夫よ。二人で話していなさい。揉めて喧嘩してもいいわよ?」
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