押しかけ社員になります!

ふと考えてしまう事がある。私だけだろうか。世の中の女性はどうなのだろう。好かれているなら、それで満足なのだろうか。好きな人に追われるのも嬉しいモノだけれど、私はやっぱりずっと追いかけていたい。

…M気質なのだろうか。困難や何かハードルがあるほど追いたくなる。今が幸せだから余計思ってしまうのかも知れない。
何も知らず、ガンガン押していたつもりだったのに、押しかけの部分で部長に負けている気がする…。んん~。

「…西野、…どうした」

んんん~。

「西野…熱でも出たのか?」

「どうも私が積極的じゃ無いって事かなぁ…」

「何がだ…」

「ずっとやられっぱなしみたいな気がするんです…」

「…そんなに気になるんだったら、西野から攻めたらいいんじゃないか?」

「そうなんですよね…そうなんですけど…」

「それで?」

「…それで、…え?」

「…どんな風に攻めたいんだ…」

へ?気が付けば部長の身体の上に乗せられていた。

「いいぞ…ほら…、好きなように攻めてくれて」

へ?

「ち、違う、違います。違います。日常の事です。これは違います…下ろして…」

「…これだって日常だぞ?」

…そうかもしれません。確かにそうでしょうが。

「今は、これは別です。これは…部長には敵いませんから…。これではなくて、追い掛けたいんです、部長の事」

…。

「西野…」

「ずっと追い掛けたいんです」

「逃げた方がいいのか?」

「はい、たまにかわして欲しいです」

「交わるのかわす?」

…どうも部長は都合よい方にボケようとする傾向が。

「逃れるのかわすです。…好きになった私の負けなんです。思いが届かなかった内は突き放されてばかりでした。当たり前ですけど。それが長かったせいでしょうか。それが楽しかったりするんです」

「それは…」
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