押しかけ社員になります!
明日は水曜日。
こうしてメニューを考えるのも、今まで自分の物を作るのとはやはりどこか違っていた。
この感じが、好きな人に少しでも美味しく食べて貰いたいという意識なんだろう。
今まで、大して気にして観た事も無かったのに、最近は何となく、短い時間の料理番組を観てみたり、ネットで検索してみたりしている。
同じ物でも色々とアレンジがあるものだ。
毎日だと大変だけど、週一なら、何とかワンパターンにならずに済みそうだ。
…いつまで、続くのだろうか。要らないと言われてしまえば終わりだ。
考えてみても解らない。
はっきり知りたければ、聞けばいいじゃないか。
何故、急に、お弁当を要望したのかさえ解らないのに。
そのうち誰かに、お昼を一緒にしている事を聞かれたり、何か噂がたつかも知れないと思っていたが、特に何も変化は無い。
裏で部長が何か手を回しているのかとさえ思った程、誰一人、何も言わない。
もう何度も部長とお昼を食べている。
食後のデザートも一緒に食べたりして。
…よく解らない。公認?黙認?…無関心?
波が立たないのは良いけど、あまりに凪過ぎるのも、返って不安になる。
あの日、突然送ってくれた事にも触れない。
傘は次の日には返しておいた。
誰が見ても高そうな傘だった。
ドライヤーで丁寧に乾かして、ズレた変なシワを増やさないように、気をつけて巻いた。
高そうな物だからしているのか、部長の物だからしているのか、好意的に見られたくてなのか…。
ふと思ってしまった。
私は女らしくないのかも知れない。
比較対象もよく解らないけど。
普通、女の子なら、送ってくれたのは何故、とか、素直に聞きそうだし、好きなら、時間が無くても上がって行きませんか、とか…言うと思う。
インスタントですが珈琲でもいかがですか、とか、言うものじゃないの?
…もっと積極的な事まで、してしまいそうなのに。
あの日、好きなのに、そんな事が一つも出来なかった…。
私は思いが顔に出やすいんだと最近よく解った。
それは部長から、そんな顔するなとか、何を考えているとか、聞かれるからだ。
どうやら困惑した顔ばかり見せているようだ。
解らない事しか無いからよ…。
溜め息だって沢山出そうになる。
これは恋煩いではない。悩み事だ。