押しかけ社員になります!
「…西野、大丈夫か?」
はぁ。いきなり倒れ込んで来て驚かすなよな。
う~ん。…いい夢見られそう。幻ぃ?部長の…いい声がするぅ。
「でへ~部長…うふふ」
何だか、あったか~い。…スーッ。部長の…いつもの香りもする。ん~、よく解んないけど、一杯抱き着いちゃえ。
「部長~、部長~。好きですぅ」
体?らしきモノもちゃんと感じる。夢なのに?…夢?うふふ。何だか解らないけど、…はぁ、幸せ~。
もっと抱き着いちゃえ。
「…西野。…に、し、の。おい、しっかりしろぉ。
はぁ…全く、お前という奴は…。西野ー!!」
「嫌~、…いつもと一緒ぉ。夢でも…叱られ…ちゃった…フフフ。部長~」
はぁ。なんなんだ。まさにお手上げ状態だな。
おっと…ちょっと待ってろよ。
【悪いが会合が長引いた。顔出しは出来ない。待たなくていいから、そろそろお開きにして終いなさい】
部下にメールをした。
さて、西野…、どうしたものか。…この状態。
荷物は持っているようだな。
取り敢えず、降りてからだな。
一階のボタンを押した。
ガタン。
はぁ、こんなに無防備に倒れ込んで来やがって。偶然にしても、相手が俺じゃなくても、この状況になっていたのか?
全く…どうした。こんなになるまで飲んで…。
飲み過ぎだ…。
抱き抱えるというより、俺がしっかり抱かれてる感じだし。
…フッ。無邪気なもんだ。こんな俺に真っすぐに挑んで来るとは。
「西野、西野?」
「…いい声がしますぅ。部長~。…部長~」
…はぁー、よくも…この状態で…眠れるもんだ。
眠っているのとは違うか。泥酔してシャンと出来ないだけか。
チン。
「下に着いたぞ、西野」
…。
ふぅ。
「帰るとするか…」