押しかけ社員になります!
部長が好きだからって、…見境も無く、私は…。
酔いに任せて、部長を、ここぞとばかりに…。
いくらなんでもなぁ…西野。
しばらく無言で見つめ合った。
「ハハハッ。西野が俺を?襲った?
そんな事ある訳無いよ。
それとも…。
西野は自分の身体に違和感でもあるのか?
あるなら、俺が襲ったって事にもなるぞ?」
意味も無く、条件反射的に大きなパジャマの胸元に指を掛け、覗き込んで見た。
…何の確認よ。
ついでに首も強く振った。アタタッ。
「無いです、ありません、何も。
身体に違和感も、跡も、何もありません」
「フッ。ハハハッ。だろ?
残念ながら俺からもシていない。
記憶が無いようだから、…一応知りたいだろ?夕べの事。どうしてここに居るのか」
うん、うんと頷いてみせた。…痛い。…口当たりのいい飲み物には次から気をつけよう。
「取り敢えず水飲んで落ち着け。悪酔いしたみたいだな。
いいか?
夕べ西野は、エレベーターのドアが開いた途端、乗っていた俺に抱き着いて来たんだ。
それを襲ったとするなら、俺は西野に襲われた事になるかな。
名前を呼んでも…呼べば呼ぶほど抱き着いて離してくれなくて。しっかりしてなくて…参ったよ。ずっと襲われ続けた訳だ。ハハッ。
仕方ないから俺の部屋に連れて帰って来た。
あー、服は西野が自分で脱いだんだ。本当だぞ?
だから、その、…下着姿のままはまずいから、じゃあ、別の服を着ようなって諭して、やっと俺のパジャマを着てもらった。
そして爆睡して、今だ。ま、そんな感じだ」
やはり…それもそれで醜態だ…。
「部長、本当に、本当に申し訳ございません。ご迷惑をおかけ致しました」
「そんなに恐縮するな。西野らしくもない。いつもガンガン攻めて来てるだろうが」
「そうですけど…それとこれとは別です。
今はそれすら言われると、恥ずかしいです。とにかくお世話をおかけ致しました」
…恥ずかしい、はぁ。
「西野…」