押しかけ社員になります!


「夕べの状態だと、乗っていたのが俺じゃ無くても、現れた人間に見境無く抱き着いていたかもしれないぞ?
どうしたんだ?夕べは。
西野らしくないと言ったら、語弊があるかな」

「それが…」

「ん?どうした」

「ボーッとしてたんです。夜風に吹かれて桜を見ていて。
何だか気が付いた頃には、かなり飲んでたみたいで…。ぼんやりと、綺麗な色のシャンパンだな〜と思ったりして…。
こんな時間になったし、部長はもう来ないんだろうなあと思って…、顔を見られないなら帰ろうかなって…あ…」

両手で口を押さえた。…恥ずかしい。言葉でこんな事を言った事は無かった。
態度や、書類だけの攻めとはまた違う。
改めて口にすると恥ずかしい。

思わずまたベッドに戻り、シーツを被って篭ってしまった。
…自分ちでも無いのに。まして部長のベッドなのに。
すっかり占領してしまった…。

「西野…。そうか、待っててくれたのか…」

ぅ゙ゔ…。

「はい。……何となくですから」

可愛く無い。待ってましたと何故素直に言わないの?さっき言ったのに。
部長の事を好きな事は、部長には100パーセントバレている事なのに。

「だったら仕方なかったんだな。
目の前に待ち人が現れたんだから。無意識に行動するに決まってる…」

そうかも知れない。いや、間違いなくそうです。好きな人が居たんですもん。
夢かも知れなくても確かめたい、抱き着きたくなったんだもん。
だって思ってた部長が居たんだもん。
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