押しかけ社員になります!
「部長?」
「…なんだ。まだ何かあるのか?」
そんな…迷惑そうな顔しないでください。端正な顔の、眉間にシワが…。
跡が残ってしまいます。
人差し指を立てて提案した。
「はい。ん゛ん゛。こういうのはどうですか?
『部長の私生活を補助する為に必要なもの』、やはり、具体的な方が良いと思います」
「西野…。それで今度のはどうするつもりだ。レポートでも提出するつもりか?
一つ一つ、必要な物を書き出していくのか?」
「はい。流石部長ですね。よくお分かりで」
…呆れられてはいるけど。
「何度も何度もこんな物見せられていたら、誰でも簡単に解ってくるってもんだ。西野…俺はな…」
「あー、ストップ、ストップです。その先は言わないでください」
巷の噂通り、俺は誰とも付き合う気も無ければ、人を好きになる事も無いって、言うおつもりですか?
そんなのは面と向かって聞かされたくない。部長が何故そんな考えをするのか、私は知らない。昔から女子社員の中でひっそりと語り継がれて来た噂話だという。人を好きにならない理由も知らない。今はただ、私は拒否され続けている…。
「西野…。もういい、フロアに戻れ…。
いいか、必ずシュレッダーにかけろ。誰の目にも触れさせるな。自宅といえどもファイルにも残すなよ。いいな」
「…はい」
返事は一応しておこう。この場が収まらないから。
「それと、レポートも要らないからな。提出する必要は無い」
「…はい」
再度、返事はしておこう。もう作製済みの物がある。様子を見てまた提出しなくちゃ。
諦めたら私の恋はそこで終わりだもの。