押しかけ社員になります!
それから数ヶ月後だった。妊娠した、と嬉しそうに言ってきた。
最初は内心驚いた。俺も学生結婚か。それとも辞めて働くか。
どちらにしても、前向きな気持ちしかなかった。
私は大丈夫だから、大学は卒業してと言われた。
俺達は結婚した。
親は丁度離婚で揉めていた頃だった。
学生だとは言え、俺はもう子供でも無い。
だから、もう別れたいと母親が言い出したのだ。
親父の女の噂はずっと絶えなかった。よく我慢したものだ。
親父には地位、名声と言われるモノがあったから、離婚は長引いた。
そして、晴れて離婚が成立した時だ。
俺は、見た、聞いた。
親父とアイツはデキていた。しかも最近の事ではなかった。
俺に近付き、取り入ったのは、親父に近付くため。初めから親父狙いだった訳だ。…馬鹿みたいだ…俺はまんまと騙された。
子供は親父の子供だった。初めからアイツは解っていた。だから結婚を望んだ。
俺らは離婚した。
アイツもそれは望んでいた事だよな。それが狙いだったといった方がいい。
親父が離婚出来ないなら、俺の嫁として家に入り、親父と関係を続けるつもりだったらしい。こんな、…一つ屋根の下で。考えている事が悍ましい。
女とは、どれ程、強かな者か。恐ろしい生き物だと思った。
俺は家を出た。
勝手に学費は支払われていた。やる気があるのか無いのか…、俺は大学生活を続けた。
それ以来、一切連絡は取っていない。親父とも、…アイツとも。
俺の、腹違いの弟は元気にしているのだろうか。
戸籍上、俺の息子だった、事実は俺の弟。