押しかけ社員になります!
「それでは、ご馳走様でした、有難うございました」
「じゃあな」
あ~あ…、あっさり帰っちゃった…。当たり前か…。
でも、一夜にして凄い進展。現実は大事件よ。今まで何も無かったんだから。
…フフ。はぁ。部長の部屋にお泊りしてしまった。結果的にだけど。
部長はきっとリビングのソファーで寝たんだろうな。そして時々私の様子を心配して覗いて見たりして。
あ、寝不足だったかも知れないな。シャワーもしちゃった。部長のパジャマも着ちゃった。寝室で部長のベッドに寝てしまった。枕、気持ち良かったな。ドライブもしたし、ご飯も初めて外で一緒に食べた。思えば、ギュッと詰まった日だったな。部長は渋々だっただろうけど。
部長は帰ったら何するんだろう。洗濯とかするのかな、シーツとかパジャマとか。私が使ってしまったから。洗濯の合間に読書とかもしてそう。風に揺らぐカーテン…、珈琲カップに時々口を付けながらページを捲って…。
…妄想が止まらない。
明日は何をしているんだろう。知りたい。出来るなら一緒に過ごしたい。休日の部長を具体的に想像したことは無かったかも知れない。…自分に都合のいい妄想はしてたけど。
やっぱり…少し部長に近付いてしまったから…欲が出始めたんだ。
寝不足だったら、ゆっくり寝るのかな~。
だけどきっちりしてそうだから、休日といえども、ダラダラせずキチンと起きそうだ。
そもそも寝不足なんて言葉は無いのかも知れない。
何でも一人で出来そう。部屋も綺麗に片付いていたし…。突然の訪問にも困らなさそう。
……部長だもんね。最初から高嶺の花だよ。私ったら…、何とか出来ると今まで信じて止まなかった自分が恐ろしい…。何の根拠も無いこの自信、一体どこから来たんだっけ。自信なんて初めから無いんだった。無謀な挑戦よ。
恋は盲目とはよく言ったものだ。部長の全てが好き。…まだ知っている範囲は少ないけど。
…部長。……恋しくて堪りません。