押しかけ社員になります!

「では、戻ります」

「うん。ああ西野、その…書類の方はよく出来ていた。急がせてすまなかった、有難う」

うわっ。そこはちゃんと褒めて頂けるのですよね。

「はい、いえ、有難うございます!失礼します」

「…」


長い時間、こっぴどく叱られたんだろうとみんなはきっと思っている。
そんな中、平然と帰って来て席に着く私は、余程気の強い女だと思われているに違いない。どんなに叱られてもめげない。仕事はできないのに、めげない事だけが取り柄、みたいな。確かに事実少々叱られるような事があったとしてもめげないだろうと思う。そこは自信はある。
できてない事、ミスを注意されるのは当たり前の事だから。それで嫌になっていたら、どんな仕事をしたって務まらない。
例え叱られたとしても、いつまでも落ち込んでいても仕方ないだろう。落ち込んでいても笑っていても、時間は平等に過ぎていくモノ。だったら笑って過ごす方がいい。笑うまでいかなくても、ずっと落ち込んでいては勿体ない。
…部長のお陰でモノの考え方がポジティブになれてる気がする。
ポジティブに考えなきゃやってられないのよ…。


そろそろお昼か…。
部長は今日は誰かと外だろうか。一緒にお昼なんて食べた事はこれまで勿論無い。偶然、席を勧めるような近くになった事も無い。
社食で見かけても、かなり遠くから、こっそり様子を窺うだけだ。
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