押しかけ社員になります!
こんな状態にさせて…途中で止めてしまうなんて。俺は酷い奴だな。
「部長…」
やっぱり駄目ですよね。冷静になったら余計…出来ませんよね。
「すまない…無責任な事は出来ない」
出来たら困るとかでは無い。西野なら構わないと思う。だが、それはまだ早過ぎるだろ?恋愛は疎か、結婚の約束だってまだ…。
まだ俺は何も無いんだ。いくらなんでも責任がなさ過ぎる。今の状況で出来たから責任で結婚だなんて…俺を好きだという西野に対して不誠実過ぎる。
「勢いづくで止められなかったら駄目だろ?
今の俺は多分、いや、絶対無理だ。自信が無い。安全日だと言っても、デキる可能性がゼロじゃない。
シてしまったら…衝動に負けてしまう。…何度もしたくなる」
「…部長。有難うございます。冷静に考えて頂いて。あの…では、抱きしめてもいいですか?」
というか、だったらせめて部長の胸の中に居たい。でも、それは、今のこのタイミングでは、男の人は辛いのかな。
「この状況で、裸で抱き合ったら、部長辛いですか?」
あ、聞いちゃった。余計な会話、多過ぎかも…。いいも悪いも黙って抱きしめたらいいのに。
「んん。まあ…今は過剰に辛いな。うん…まずい」
じゃあ、何か着たらいいのかな。…そんな事ではないか。理屈は抜き。えいっ。
抱き着いた。
「西野?!…勘弁してくれ…。まずいって言っただろ?せめておさまるまで…はぁ」
「……だって…今日は部長との、初めての色っぽい日なんです。だから、まだ中学生くらいのつもりで…。だとしたら、今日はこれが丁度じゃないですか?
また別の日に襲いに来ます。私も準備万端で来ますから」
…何の準備だ。体調かしら。自分で言った言葉の責任が取れない。…もう、いい。更に抱き着いた。部長の手がゆっくりと頭を撫でた。
「ふぅ……すまない。しようが無いけど…俺も準備万端にしておくよ。今日は…西野だけでも満足しとくか?」
頭にキスを落とされた。部長が横で半身になった。
「えっ!?いえいえ。待ってください。大丈夫です。結構です。これは、そんな催促では無くて。次回で大丈夫です。本当に大丈夫ですから。本当に」
また改めて翻弄され続けるなんて、とんでもない。私の羞恥心が…身体が…。持ちません。
そんな事言われたら…。また身体が熱くなるではないか。
折角収まりかけているというのに…。何て事言ってくれるんですか。
「いいのか?大丈夫か?収まるか…」
部長の手が頬に触れ、顎から首にかけて触れた。あ、もう、…ストップ!ストップです。
「…は、い。大丈夫です」
返事するのも、何か変だけど。…。
「…そっか。…申し訳ない…持ち越しだな」