押しかけ社員になります!
10代の頃の自分を思い出してみた。
男性、女性に違いはあるけれど…。
あの頃の自分にどれだけ世の中を見極める知識、経験があっただろう。
年上の人の経験には敵わない。まだまだ世間知らずの子供だ。
違う学部の学生の外見に惹かれ、付き合えるなら付き合ってみたいよね、なんて友達と騒いでいたような年齢。
好きになったその先に、落とし穴があるなんて考えもしないだろう。純粋に好き嫌いを語り明かしていただけだった。
部長…、もの凄い経験だと思う。
俺に関わるな。その言葉は、行き場の無い部長の心。誰かを好きになりたくてもなれない。なろうとしない。
過去が足枷となって、きっと今までだって、冷めた思いを作って…苦しい思いを繰り返して来たのだろう。
この話を今まで好きになった人に話した事はあるのだろうか。
解らないけど、部長が今も一人で…俺に関わるなと言うなら、話した人が居るなら、そんな部長と共に歩けなかったという事なのだろうか…。
それは相手の女性に、好きが足りなかったのだろうか。…どっちが?
きっと部長の容姿に惹かれて始まったのだろう。結局それのみかも知れない。大人の男だ、体だけの人は居たのかも知れない。
人の事は言えない。私だって部長の容姿、好きだ。
背が高くて端整な顔立ち。声も好き。男らしさも色気もある。そして、仕事に厳しいところが好きだ。
それこそが、きちんとしていて信頼できる要素だと思うから。…物凄くぞっこんなのだ。
そして、本当に高嶺の花なのだ。
読書をするならベッドに入り、あっちを向いたりこっちを向いたり、寝返りしながら、時に睡魔に襲われ、ゴロゴロ読むのだけれど…。
今の私はと言えば、きちんと正座をして、ファイルに綴じられた部長のこの記録を読んでいた。