押しかけ社員になります!

はぁ。部長が来る。何がどうしてこんな流れに。
部長が電話なんて…、体調を気にしてくれたのだろうか。それとも、何か話があって、その取っ掛かり?
うちに来るなんて、やはり何か話したい事でもあるのかな。
私が部長の番号を知らないのは当たり前だけど、部長はどんな手を使ったのだろう。ま、いいか。連絡したいから努力してくれたのだと思うと、聞かなくていい。
先にお風呂に入って、薬も飲んでおこう。…眠くなるかな。
遅い時間だから、ご飯は軽めの方がいいよね。
ご飯を先にセットしてお風呂だな。本当に有り合わせになってしまうけど…。よ~し。気分はなんだか晴れて来たぞー。
理由は何だか知らないが、部長の顔が見えるのは嬉しい。


ピンポン。
部長かな…。はぁ、ドキドキする。

「はい」

ほぅ。…。部長。だ。

「西野」

「は、い」

「お土産だ。入ってもいいか?」

妙に暫く見つめ合ってしまった。

「あ、は、はい、すみません。どうぞ」

この玄関先のやり取りで思った。よく考えたら、抵抗無く自宅に招き入れようとしている。
私って、軽い女って見られてるかな。これって…どうなんだろう。あ、でも…部長の部屋に押しかけるという大胆な事はもうしちゃったんだった。疑問に思ったところで既に遅いんだ…。それに誰彼と言う訳じゃない。部長だからあげるんだ。

それにしても、凄いお土産の量。重いからって持って入ってくれていた。

「俺のレポートに書き忘れてた事があったんだ。それを言っておきたくてな」

やっぱり話があったから、この訪問なのね。大事な話なんだ。それも足して、…どうするか、考えて欲しいって事かな。
具合が悪いなら、話どころでは無いから。それもあって体調を気にかけてくれたんだ。
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