押しかけ社員になります!
「では先に食べますか?話は後でゆっくりの方がいいですよね。海老の水餃子を作ってみました。後は…見たままの料理です」
「ん。有難う。旨そうだ。では遠慮なく、頂くことにするよ」
「はい、どうぞ」
ご飯を食べ終わり、珈琲を入れ、部長のお土産のフルーツたっぷりのチーズタルトを頂いた。
カットしてあって、ホールで買って来てるなんて、…嬉しい。沢山食べられる!
他に、果物も色々と沢山買って来てくれていた。重くなるはずだ。
珈琲を飲みながら、部長が話を切り出した。
「俺の…弟、だな。あいつが来年、二十歳になるんだ…」
そうか…。部長が19の時の妊娠話だものね。
「何がって訳じゃないんだが、一つの区切りのようなモノかな…。そんな気がして。あいつが二十歳になったら、俺も自由にしていいような気がするんだ。
俺の子じゃないけど、親父を介して血は繋がっている。…妙なものだよ。
嘘だって解っても、俺の子だと言われた子は、やっぱり弟というより、変な意識がずっとついてまわるんだ。
あいつも、普通に兄弟だって感覚とは、やっぱり違うと思うんだ。
当たり前だけど母親は違う訳だから。…複雑だ。本人は知らないけど俺の子にされてた訳だし。…身勝手な話だよな。
二十歳になったら、ありもしない責任のようなモノから、解放される気がするんだ。…それでだ。それまでは、俺にはまだ、結婚だとかは頭に無いんだ」
「は、あ…」
「うん…まあ、西野にはピンとこない話だよな。俺の気持ちの問題だし」
いや、あの、そもそも、結婚に関連する話ですよね、部長の。
結婚というキーワード。…私に言われても…。今の私にはまだ何も無い訳で…。
プロポーズをされて、結婚はこう言った理由で待っていてくれってのとは、違うでしょ?
だったら何故、この話を今するの、って事よね。私はそんな大切な存在だとも言われていない。まだ、始まりの本の最初の段階だ。
疑問と不安が顔にもろに出ていたのだろう。
「あー、順番が、…何も言って無いのに、こんな話をするからおかしくなるんだよな」
どうも…、気が逸ってしまう…。
「は、い?」